のんびりおしゃべりしようね会
【地域の課題】
高次脳機能障害や失語症のある方は、退院後やリハビリ終了後、人と会うことや外出することに不安を感じ、自宅に閉じこもりがちになることがあります。れいこさんは「話さなくなると、ますます言葉が出なくなってしまうんです」と当時を振り返ります。また、失語症は外見からは分かりにくいため、周囲に理解されず誤解を受けることも少なくありません。その結果、人との交流を避けるようになり、孤立につながることもあります。こうした悪循環を断ち切るためには、「言葉が出なくても大丈夫」と安心して過ごせる居場所や、同じ経験を持つ仲間と気兼ねなく集える場が地域にありませんでした。
れいこさん&ゆうこさん
【活動内容】
「のんびりおしゃべりしようね会」は、失語症のれいこさんとゆうこさんが主体となりそして埼玉県立大学の小池先生の協力のもとが約2年前に発足しました。「失語症の人は話すまでに時間がかかるから、“のんびり”という言葉は絶対に入れたかったんです」とゆうこさん。活動は、おしゃれな喫茶店でおいしいコーヒーを飲みながら行われ、「言葉が出なくても大丈夫」「うなずくだけでも、笑っているだけでも大丈夫」という温かな雰囲気を大切にしています。会を重ねるごとに笑顔や笑い声が増え、最初はうなずくだけだった方が少しずつ言葉を発するようになるなど、参加者同士が安心して自分らしく過ごせる関係づくりが育まれています。
笑顔いっぱいの参加者のみなさん!
【今後の取組】
現在は毎月1回、参加したい時に自由に参加できる形で活動を続けています。「雨の日は少人数の日もありますが、それでいいんです。無理をしないことが大切だから」とれいこさんは話します。代表のお二人は「会を大きくしたいわけではなく、今くらいの人数だから一人ひとりとゆっくり向き合える」と考えています。その一方で、「私たちのような安心して話せる場が、地域のいろいろな場所に増えてほしい」と願っています。失語症への理解が地域に広がり、誰もが自分のペースで安心して参加できる居場所が増えることが、今後の大きな目標となっています。
【編集後記】
今回のフィールドリサーチでは、センターで開催している「モヤモヤカフェ」と共通する、「安心して話せる場づくり」の大切さを改めて実感しました。印象的だったのは、「話すこと」だけが目的ではなく、その場で一緒に笑い、うなずき、同じ時間を過ごすこと自体に大きな意味があるということです。おしゃれな喫茶店という居心地の良い空間や、お店の方の温かな協力も、参加者が安心して集える理由の一つでした。「モヤモヤをワクワクに変える関係づくり」は、特別なプログラムではなく、人を受け入れる温かな雰囲気から生まれることを学びました