「桐の会(ポロウニア・クラブ)」会報 環境学習:E08 2025年8月度 「化学物質の環境汚染についての考察」
■桐の会 会報 :「環境学習会 2025年8月度」
E08「化学物質の環境汚染についての考察」 August 15 ,2025
(大塚宣寿『化学物質と私たちのくらし』CESS 2022年9月講義メモ、環境省『POPs 残留汚染物質』2021年3月版を基に作成。)
化学物質とは、「元素又は化合物に化学反応を起こさせることにより得られる化合物」と法令上で定義されている。1800年代から化学物質情報を収集活動をしているCAS(Chemical Abstracts Service=アメリカ化学会)に登録されている化学物質数は2億400万以上(2023年9月現在)、市販品・市薬品は全世界で約800万、日本で製造・輸入されている化学物質数は約5万種類ある。私達の生活は様々な化学物質の恩恵を受けている一方で、その代償として、環境や人に悪影響を与えてきた歴史を持っている。日本で最初の足尾銅山鉱毒死の事件はカドミニウムや亜硫酸ガス等で山林・農産物の枯死、川魚の大量死、流域住民の病が発端。更に、四大公害病といわれる水俣病・新潟水俣病・イタイイタイ病・四日市ぜんそくは、排水からのメチル水銀化合物・カドミニウム、排ガスからの流黄酸化物、また、ベトナム戦争の『枯葉作戦』の枯葉剤、セべソの農薬工場爆発事故、カネミ油症事件などはダイオキシン類により、人体への被害が起きた。これらは化学物質の負の歴史になる。過去の悲惨な公害問題の経験から世界的に環境への関心が高まり、さまざまな法規制が制定され、環境対策がとられ、産業公害問題は改善されてきた。しかし、人類が利便性を追求し続ける結果、新たな脅威が忍び寄ってきているのではないか、と、漠然とした不安を、私は持っている。私たちが現在直面している環境問題は、過去に経験した産業型公害問題と異なってきている。例えば、「POPs(ポップス)の拡散」、POPsとは残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants)の頭文字と語尾は複数を示す略称。具体的には、ダイオキシン類・PCB(ポリ塩化ビフェニル)・DDT・PFOS(フッ素化合物)等の化学物質があげられる。POPsは環境中で分解しにくい、水に溶けにくく、油に溶けやすい性質を持っている。このため、POPsが野生生物の体の中に取り込まれると、体の中で分解しにくいので、脂肪に蓄積していき、野生生物の体内のPOPsの濃度が徐々に高くなっていく。長い間POPsにばく露されると、野生生物の生殖器異常や奇形の発生をもたらす可能性がある、と指摘されているが、科学的にわかっていないことが多い。しかし、環境問題の歴史は人間を含む生き物達に悪影響が出てきた時では、遅いことを教えている。「なんでも摂取が過ぎれば毒である。」、私達は、環境問題に関心を持ち続けることが必要だ。
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