『科学絵本の魅力いっぱい!絵本講座』高柳芳恵氏 講演会 2024.10.22
2024.10.22(火)正和工業にじいろホール 10~15時
高柳芳恵氏をお招きして、科学絵本の講演会を催しました。
会員19名、交流のある団体の方15名にご参加いただきました。
第一部「科学絵本の楽しみ方」
高柳先生は、科学絵本を多数著されています。
創作のきっかけとなったのは、子どもと植物で遊んでいるうちに、葉っぱに興味をもったからだそうです。
例えば、子どもと一緒にくずの葉で遊んでいるうちに、葉っぱに開いている穴は、誰が開けたのかな ?と不思議に思い、調べているうちに、葉っぱの面白さに気が付いたそうです。
「はっぱのあな」〈高柳芳恵/ぶん おおぐろ まり/え 福音館書店〉
1969年、福音館書店「かがくのとも」創刊、これが科学絵本の始まりで、それ以降今日に至るまでの、科学絵本の内容の移り変わりについて、沢山の絵本の紹介と共に、述べられました。
「それまで、ほとんどが絵で描かれていた科学絵本が、2000年を境に、デジタルカメラの出現によって、鮮明な写真が撮れるようになり、素晴らしい写真絵本が生まれた。
しかし残念なことに、タイトルは派手で目をひき、中の写真を見た子供たちは、一瞬面白がるが、「その先をもっと知りたい!」と、興味を引き出す内容になっていない写真絵本もある。
一方、絵は話の流れに沿って描くことが出来、写真に負けず劣らない優れた絵本も沢山ある。
また、最近では、情報を集めて容易に作られた、事実と異なる内容の含まれる絵本もある。
作り手が、自分の目で見て、感じて、じっくり対象に向き合い、自分なりの見解をまとめてあることが重要。
科学絵本選びで大切なのは、子どもに伝えたい事、受け取ってほしいことが、よく書かれており、その絵本を見て「もっと知りたい!」と思うような本を選ぶこと。」
読み聞かせるときのアドバイスもいただきました。
「実物を用意して見せるとよい。「本当だ!」「もっと知りたーい」という気持ちを引き出す事につながる。
関連する本の紹介もするとよい。子どもの興味を、更にその先へとつなげてゆく。
また、読み手は、読み聞かせる本の内容をよく理解したうえで、対象の本が合う年齢の子どもに紹介する。」
第二部「科学絵本を使った遊びの広げ方」
~ひとつのテーマを広げてみると~
この日はテーマは「繊維」。
和紙の原料の「楮:コウゾ」、布の原料「亜麻」の小枝が各自に配られ、外側の硬い皮を取り除いて、中の繊維を取り出してみました。
なかなか根気のいる作業で、容易ではないことがわかりました。
ちなみに、足長バチの巣は、「楮」で出来ていることを、高柳氏は突き止めたそうです。
これも、足長バチの巣は、和紙に似ているな?と好奇心を抱き、根気よく観察を続けてわかったそうです。
その後、「繊維」について書かれている科学絵本、また、昔の生活、特に糸を紡ぐ等、繊維を作る工程が正確に描写されている、物語絵本、昔話の紹介がありました。
こうして、本から知識を得るとともに、実際に繊維を取り出す事、一つでも体験してみると、身をもってその作業の様子がよく解り、大変意味深い事だと思いました。
それにしても、植物から繊維を取り出す→何本かを寄り合わせて糸を紡ぎ、錘に巻き取る→その糸で布地を織る→その布で服を仕立てる、という長い工程を、手作業でしていた昔のことを思うと、昔の人の根気強さに感嘆します。
子ども達に科学絵本を届ける私達が、どんな視点で選書をしたらよいか、また、読み聞かせる時に心掛ける事を、沢山学ばせていただきました。
そして、高柳氏の自然への好奇心、探求心、沢山の知識に驚かされると共に、一つのテーマに向き合って、コツコツと研究されるお姿に、深い尊敬の念を抱いたのでした。
この情報は、「春日部おはなしの会」により登録されました。