「桐の会(ポロウニア・クラブ)」会報 環境学習:E14 2025年11月度 参考文献紹介1 Rachel Carson著 青樹簗一訳『沈黙の春』
公開日:2025年11月15日 最終更新日:2025年11月15日
■桐の会 会報 :「環境学習会 2025年11月度」参考文献紹介1
E14 Rachel Carson(レイチェル・カーソン)著 青樹簗一 訳『沈黙の春』 新潮社 令和3年4月83刷 November 15 ,2025
環境学習の参考文献として、Rachel Carson(レイチェル・カーソン)の『沈黙の春』を紹介したい。『沈黙の春』は環境問題の古典といわれている。17章で構成されており、第1章のみは、衝撃的な寓話で始まる。寓話ではあるが、あとの章を読んだ後、もう一度、第1章を読むと、不気味な現実味をおびてくるように、私には感じられる。環境問題のバイブル、といえる文献と思っている。
■『沈黙の春 (Silent Spring)』第1章「明日のための寓話」 <引用>
「アメリカの奥深くにわけ入ったところに、ある町があった。(中略)ところがあるときどういう呪いをうけたのか、暗い影があたりにしのびよった。いままでみたこともきいたこともないことが起こりだした。若鶏はわけのわからぬ病気にかかり、牛も羊も病気になって死んだ。どこへいっても、死の陰。農夫たちは、どこのだれが病気になったというはなしでもちきり。町の医者は、見たこともない病気があとからあとから出てくるのに、とまどうばかりだった。(中略)自然は沈黙した。うす気味悪い。鳥たちは、どこへ行ってしまったのか。みんな不思議に思い、不吉な予感におびえた。(中略)本当にこのとおりの町があるわけではない。だが、多かれ少なかれこれと似たことは、合衆国でも、他の国でも起こっている。(中略)、アメリカでは、春がきても自然は黙りこくっている。そんな町や村がいっぱいある。いったいなぜなのか。(後略)」
自然が黙りこくる理由は、この後の第2章「負担は耐えねばならぬ」・第3章「死の霊薬」・第4章「地表の水、地底の海」・第5章「土壌の世界」・第6章「みどりの地表」・第7章「何のための大破壊?」・第8章「そして、鳥は鳴かず」・第9章「死の川」・第10章「空からの一斉爆撃」・第11章「ボルジア家の夢を超えて」・第12章「人間の代価」・第13章「狭き窓より」・「第14章「四人に一人」・第15章「自然は逆襲する」・第16章「迫りくる雪崩」で説明される。そして、17章の最終章「べつの道」で、レイチェルは選択肢を示している。
『沈黙の春』は1962年に出版された本である。昆虫を殺す化学薬品が、自然を破壊する。レイチェルの時代の化学薬品はDDTに代表される。日本の戦後、DDTは虱退治で子供達に振りかけていた。DDTは強力な殺虫力はあるが、残留性が強い為、日本では1971年以降、使用が禁止された。レイチェルは『沈黙の春』で化学薬品の危険性を指摘し、「地球に優しい道を選びなさい。そうでなければ『破滅的な道』を選びことになる。」と警告している。人類が間違わない道を選んで、未来へ踏み出して欲しい、レイチェルの願いのように思う。是非、機会を設けて読んでもらいたい。
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